NIHO kamakura · Roasting

R2で焙煎、
もう一歩おいしく。

パチン! 生豆黄変1ハゼシティフレンチ

焙煎、30回くらいやってみて、なんとなく焼けるようにはなってきた。でも──

「毎回ちょっとずつ味が違うのは、なんで?」

「1ハゼボタンって、いつ押すのが正解?」

「深煎りにしたいのに、2ハゼの手前で勝手に終わるんだけど…」

今回は、そんな“中級者のモヤモヤ”をまとめて解消していきます。豆の中で何が起きているのかがわかると、R2のつまみを「なんとなく」ではなく「狙って」回せるようになります☕

公開日:2026/09/18 ゆっくり読んで30分くらい 表と数字でまとめた「きっちり版」はこちら →

そもそも、豆の中で何が起きてる?

生豆の匂いをかいだことはありますか? 青っぽくて、ほとんど草です。そこからあの香ばしい香りになるまでに、豆の中では800種類以上の香り成分が生まれていきます。

焙煎は、ただ豆を温めているだけではありません。温度が上がるにつれて、豆の中で起きる反応が順番に切り替わっていきます。どの段階で止めるかで、味が決まります。まずは全体の流れを見てみましょう。

焙煎中の豆の温度と上昇率、段階ごとに起きる反応の概念図 乾燥 メイラード反応 発達 深煎りなら 80120160200240 豆温 ℃ 0102030 02468101214 経過時間(分)— 一般的な小型ドラム焙煎の例。R2の表示温度はこれより低めに出ます 上昇率(RoR, ℃/分) なめらかに下がり続けるのが理想 豆の温度 転換点 黄変 約150℃ 1ハゼ 約196℃ 中煎りで排出 2ハゼ 約224℃ このとき豆の中で起きていること 水分の蒸発(10〜12% → ほぼ0へ) メイラード反応:褐色・香り・ボディのもと カラメル化:ショ糖が分解し甘い香り → 進むと苦味 クロロゲン酸・有機酸の分解:酸味が減り、苦味成分へ 熱分解・油がにじむ(2ハゼ以降)→

図は横にスクロールできます →

一般的な小型ドラム焙煎の例です。R2の表示温度はこれより低めに出て、1ハゼは表示で175〜185℃くらいが多いそうです。
段階1乾燥

水分が抜ける〜150℃くらい

生豆にある10〜12%の水分が抜けていく時間。熱の多くは水を飛ばすのに使われます。緑から黄色へ、青草の匂いがパンやクッキーの匂いに変わったら「黄変」です。ここで火力を強くしすぎると、外だけ焦げて中は生のままになります。

段階2メイラード

色と香りが生まれる150℃〜1ハゼ

アミノ酸と糖が出会って、茶色の色素と香りが次々に生まれます。パンの焼き色やステーキの焦げ目と同じ反応です。170℃あたりからは砂糖のカラメル化、165℃あたりからは酸味のもと(クロロゲン酸)の分解もスタート。

段階3発達

酸味が減り、甘さとコクが育つ1ハゼ〜排出

酸味(クエン酸やリンゴ酸)が少しずつ減って、甘さとコクが育つ時間。焙煎度はほぼここで決まります。同じ秒数でも、ここに入るときの勢いで仕上がりが変わるのがおもしろいところ。

段階42ハゼ〜

煙と苦味が増える224℃くらい〜

豆の骨組みが崩れて、油がにじみ、煙と苦味がぐっと増えます。産地の個性は、だんだんロースト香に置きかわっていきます。

ここだけ覚えて

  • 温度が上がるにつれて、豆の中で起きる反応が切り替わる
  • どこで止めるかで、味の大枠が決まる
  • 温度の上がり方(RoR)は、最後までなめらかに下がり続けるのが理想

ちなみに、苦味には2種類あります

浅煎り〜中煎りのやさしい苦味は「クロロゲン酸ラクトン」。さらに焼くとそれが分解して「フェニルインダン」になり、深煎りらしいガツンと後に残る苦味に変わります。深煎りでも、2ハゼに入ってからを短めにすると苦味がまろやかになります。

1ハゼと2ハゼ、何がはじけてる?

焙煎中に聞こえてくる「パチン」と「チチチッ」。豆の中では、いったい何がはじけているのでしょう?

H₂O + CO₂

パチン!

1ハゼ

豆の中にこもった水蒸気とCO₂が、圧力鍋のように内側から組織を押し割る音です。ポップコーンっぽい、大きめの音。豆温で約196℃(R2の表示だと175〜185℃くらい)。豆は最大で1.8倍くらいまでふくらみ、センターカットがぱかっと開きます。

油・煙

チチチッ…

2ハゼ

今度は豆の骨組み(細胞壁)そのものが崩れる音。1ハゼより細かく、高く、速い音です。豆温で約224℃。油が表面ににじみ出して、煙が一気に増えます。

「1ハゼで豆の中の反応が“熱を出す側”に変わる」という説明もよく見かけますが、専門家の間でも決着していない話なので、話半分で。

焙煎度で、味はこう変わる

焙煎が進むと、味の要素はそれぞれ違う動きをします。山登りにたとえると、こんな感じです。

焙煎度ごとの酸味・甘み・ボディ・苦味・産地の個性の強さの概念図 1ハゼ 2ハゼ 強い 弱い ライトシナモンミディアムハイシティフルシティフレンチイタリアン

図は横にスクロールできます →

よく語られる傾向をもとに描いた概念図で、測定値ではありません。甘みの山頂の位置は、豆や焼き方で前後します。

8段階の焙煎度、ざっくり早見

ライト1ハゼ直前〜始まり穀物っぽくて酸っぱい。ちょっと早すぎ
シナモン1ハゼの最中酸味が主役。軽やか
ミディアム1ハゼの終わり頃華やかな酸味と香り
ハイ1ハゼ後〜2ハゼ前酸味と甘みのバランス型
シティ2ハゼ直前〜始まり甘みとコク。酸味はおだやか
フルシティ2ハゼのピーク前後コクと心地よい苦味、チョコ感
フレンチ2ハゼ終盤しっかり苦くてスモーキー
イタリアン2ハゼ後さらに強い苦味と焦げ香

重さの減り方の目安は、浅煎り11〜13%、中煎り15〜18%、深煎り18%〜。段階名の定義はお店によって少しずつ違います。

好きな味から逆算しよう

中級者への一番の近道は、「今日はどんな味にしたい?」を先に決めてから焼くこと。あなたはどのタイプでしょう?

フルーティ派

「明るい酸味と、華やかな香りが好き」

焙煎度
ミディアム〜ハイ(DTR 15〜20%)
R2では
予熱と序盤の火力をしっかり。1ハゼの前で火力を落としすぎない

失敗あるある:酸っぱい・青臭い → 1ハゼ後を15〜30秒のばす

甘党派

「まろやかで、甘いのがいい」

焙煎度
ハイ〜シティ(DTR 20〜25%)
R2では
1ハゼの手前から火力を少しずつ下げて、上昇率をなめらかに

失敗あるある:平板で甘くない(ベイクド)→ 中盤で失速させない、量を減らす

コク派

「どっしり、チョコっぽいのが好き」

焙煎度
シティ〜フルシティ(DTR 22〜27%)
R2では
1ハゼ後を長めに。2ハゼの入口あたりで止める。ファンは上げ気味

失敗あるある:苦い・焦げ臭い → 2ハゼに入ったら10〜20秒で止める

ビター派

「ミルクやアイスに負けない苦味がほしい」

焙煎度
フルシティ〜フレンチ
R2では
2ハゼボタンの後は短く(公式の目安は20秒以内)。ファン強めで煙を逃がす

失敗あるある:灰っぽい・煙臭い → ファンを上げる、チャフを毎回掃除

DTRの幅は、一般的な目安を焙煎度に割り振ったものです。

DTRやRoRって何? という人は、付録C「覚えておくと便利な3つのものさし」へどうぞ。

上達が早くなる4つのクセ

  • 1回に変えるのは1か所だけ(火力とファンを同時に変えると、何が効いたかわからなくなる)
  • 同じ豆で比べる(1種類を2〜3kg確保して、条件違いで並べて飲む)
  • 休ませてから飲んで評価する
  • 数字と味を1行メモ

R2のつまみ、回すとどうなる?

R2で動かせるのは、火力、ファン、予熱温度、曲線の時間配分、投入量(アプリによってはドラム回転も)。車の運転にたとえると、ぐっとわかりやすくなります🚗

火力=アクセル0〜100%

豆に入る熱の量。踏むと速く進んで、明るい味に。踏みすぎると、序盤は表面が焦げ、終盤は苦くて煙っぽく。踏まなさすぎると失速して、平板な“焼けた”味になります。

ファン=換気扇(ちょっとブレーキ)0〜100%

煙とチャフを外に出す係。熱も一緒に逃げるので、上げるとスピードが落ちます。上げすぎると香りまで逃げ、下げすぎるとスモーキーに。R2のファンは「熱を運ぶ主役」ではなく「排気係」という声も。段階ごとに上げていくのが基本です(使いどき)。

予熱=スタートダッシュ公式 180〜220℃・8〜10分

高いと序盤が速く、明るい味に。高すぎると表面や縁が焦げます。予熱の完了アラームから3分以内に投入しないと止まってしまうので、豆はスタンバイしておきましょう。

1ハゼ後の時間=焙煎度ダイヤル曲線の設定・公式の目安180秒以内

いちばん直接効くつまみ。のばすと深く、縮めると明るく。浅すぎ・焼きすぎのときは「次回ここを調整してね」というのが公式の案内です。

投入量=乗車人数公式 200〜550g

人数が多いほど、坂道(高温域)で失速しやすい。慣れるまでと深煎りは200〜300g、実用上の上限は400gくらい。550gだと受け皿から豆があふれた例も。

ドラム回転=基本さわらない仕様は90rpm・手動で調整できる

豆の転がり方を決めるつまみ。ちょうどいい速さがあって、速ければいいわけではありません。遅すぎると豆が底にたまって熱いドラムに触れっぱなし、速すぎると遠心力で壁に張りついて転がらなくなり、どちらも焦げやムラの原因に。基本は既定のままでOK。

ファンとドラム回転の使いどき

火力がアクセルなら、ファンは段階ごとに上げていく排気係で、ときどきちょっとしたブレーキ。ドラム回転は困ったときだけ触ります。

いまの段階ファンなんのため?
投入〜黄変低め(R2ユーザーの例で30%くらい)。ゼロにはしない熱をためながら、湯気は外に逃がす
黄変〜1ハゼ少しずつ上げる(30% → 40%くらい)チャフがはがれて煙が出始めるので、外に出す
1ハゼの後しっかり上げる(公式の目安60%以上)煙を出しながら、スピードをなめらかに落とす
2ハゼの後ほぼ全開(公式の目安90%以上)一気に増える煙を出す

1ハゼ・2ハゼのまわりでファンを低めにしても、アプリが安全のため自動で引き上げます(2ハゼの設定で30%にすると55%になる、など)。

ファンで、ちょっと調整

  • 1ハゼの前にスピードが出すぎ → 火力をガクッと下げる前に、ファンを5〜10%上げてみる
  • 失速しそう → ファンを少し下げる
  • 煙臭い・スモーキー → ファンを上げる
  • 香りが弱い → ファンを少し下げる

ドラム回転を触るのは、こんなとき

  • 豆の平らな面に黒い焦げ跡や色ムラ → まず予熱か序盤の火力を下げる。それでも出たら、前面の窓から豆の動きを見る
  • 豆が底でもたついている → 少し上げる
  • 豆が壁に張りついたまま回っている → 下げる
  • 変えるときは少しずつ。1回の焙煎の中では固定して、前回と比べる

つまみ早見表

そのつまみを「上げた」とき、同じ焙煎度で止めた場合の傾向です。 増える/ 減る/ 途中まで増えて減る/ ほぼ変わらない

上げるつまみ上昇率時間酸味甘みボディ苦味・煙焦げ
火力▲▲
ファン▼▼
予熱温度
1ハゼ後の時間▼▼
投入量

R2の“公式ルール”もひとつ

R2には「1ハゼの後は火力を下げて、ファンを上げてね」という公式の目安があります。アプリも1ハゼ・2ハゼのまわりに安全上の制限をかけていて、たとえば2ハゼの設定でファンを30%にしても、自動で55%に直されます。

時間火力ファン
1ハゼの後180秒以内50%以下60%以上
2ハゼの後20秒以内30%以下90%以上

表示温度は“まわりの空気”寄り

R2の温度は豆の体温そのものではなく、まわりの空気に近い値。ネットの記録やほかの焙煎機の数字とは比べられません。数字より、音・色・重量減少率を信じましょう。温度センサーは20〜25回に1回お掃除を。

2回目からは速くなる

連続で焼くと本体に熱がたまって、同じ曲線でも15分 → 12分 → 10分と速くなった例があります。2回目以降用に1割ほど下げた曲線を用意して、3回焼いたら一度しっかり冷まします。

アプリは2026年に無料の新アプリ「Sandbox Smart Pro」へ移行しています。画面の名前や上限値は、お使いの版で確かめてください。

R2あるある① 1ハゼボタン、いつ押す問題

「最初の1粒で押す? いちばんにぎやかなときに押す?」

「パチン」が3回くらい続いたら押す。ピークまでは待たない。

公式のFAQは「3回連続で聞こえたら押す」。さらに、メーカーに問い合わせた焙煎士さんによると、プリセットの秒数は早めに押す前提で作られているそうです(WAKO COFFEEさんの動画より)。

ピークまで待って押すと、そのぶん終わりも遅れるので、実は「発達時間をのばす」のと同じこと。深く焼きたい日の裏ワザにはなりますが、押すタイミングが日によってバラバラだと、記録が比べられなくなってしまいます。

ここだけ覚えて

  • 押す基準を、毎回そろえる
  • 深くしたいなら、押すのを遅らせるより「1ハゼ後の時間」をのばす
  • マイ曲線で1ハゼの手前から火力を少しずつ下げておくと、ボタンを押したときの急ブレーキがやわらぐ

R2あるある② 深煎りが2ハゼ前に終わる問題

「フレンチにしたいのに、2ハゼの手前でピピッと終了…」

マイ曲線で「1ハゼ後の時間」をのばして、2ハゼが来たら2ハゼボタンで締める。

1ハゼボタンを押すと、曲線に設定された「1ハゼ後の時間」のカウントダウンがスタート。ゼロになったら、豆の気持ちにおかまいなく終わります。しかもR2のプリセットは“じっくり低めの上昇率”の設計で、1ハゼの後は火力も控えめ。深煎りプリセットで焼いたらシティくらいで止まった、という動画もあります。

ちなみに、1ハゼが10分のところで来たなら、1ハゼ後150秒はDTR約20%。そもそも中煎り向けの配分なんです。

試す順番

まず

マイ曲線で「1ハゼ後の時間」をのばす。公式の目安は180秒以内。200秒くらいに設定しておく人もいます。時間は“余裕”として持っておいて、終わりは2ハゼボタンで決めます(ボタン後は短いカウント、公式の目安20秒以内)。

次に

1ハゼまでに勢いをつける。予熱と序盤の火力を上げて、1ハゼの手前で火力を落としすぎない。勢いよく1ハゼに入るほど、2ハゼまでが近くなります。

あわせて

量を200〜300gに減らす。プリセットの「深」より、アドバンス/コンペティション系の強めの曲線をもとにするのも手です。

それでも

1ハゼの後に手動へ切り替える、またはフル手動で焼く。動画の焙煎士さんもこの方法で2ハゼまで進めていました。手動に切り替えた後もカウントダウンが生きているかは、アプリの版で確かめてください。

裏ワザ

1ハゼボタンを遅めに押す。効きますが記録がブレるので、やったら必ずメモを。

深煎りは煙とチャフの発火に要注意。換気を強めにして、焙煎中は機械から離れないでくださいね。

R2あるある③ 終盤に温度が下がってくる問題

「あれ…温度、下がってない…?」

いつ下がり始めたかで意味が違う。2ハゼボタンの後なら問題なし。2ハゼの前なら“失速”なので対策を。

下がり始めたとき主な原因問題?
2ハゼボタンの直後アプリが火力を下げてファンを上げた問題なし。数十秒で終わります
1ハゼボタンの直後にガクッと1ハゼ後の設定へ一気に切り替わった要注意。平板な味の原因に
1ハゼと2ハゼの間で、設定は同じなのに熱が足りない(量・室温・電源)、R2の癖問題。2ハゼ前に終わる原因にも

どうして下がるの?

見分け方はかんたん。アプリの焙煎履歴で、温度が下がり始めた時刻の火力・ファンの線と、ボタンを押した時刻を重ねて見てみてください。

2ハゼ前に下がるときの対処

  • 1ハゼ以降は温度が伸びにくい機種なので、1ハゼの手前で勢いを稼ぐ(予熱・序盤の火力を上げる)
  • 深煎りは200〜300gに減らす
  • マイ曲線で、1ハゼ後の火力は上限寄り・ファンは下限寄りに
  • 焙煎中は、同じ回路の電子レンジ・ケトル・ドライヤーはお休み
  • 2ハゼボタンは、音を確かめてから押す(早く押すほど早く火力が落ちる)
  • 表示が220℃近くなのに2ハゼが来ないときは、上限に当たっている。無理せず、量と勢いで解決

R2あるある④ 焼きが甘かった…もう一回焼いていい?

「うっ、まだ明るい…。このまま捨てるのはもったいない」

救済としてはアリ。でもプリセットで最初からやり直すのはナシ。フル手動で「足りない分だけ」足す。

1ハゼの前か、途中で終わった

→ 焼き直す価値あり

足りないのは発達だけ。足せば飲める味に近づきます。

色はいいのに、酸っぱい・青臭い

→ 焼き直さず、次回を直す

焼き直すと色だけ深くなって平板になりがち。

2ハゼに入っている

→ 焼き直さない

焼き直しが成り立つのはハイローストくらいまで。

プリセットがダメな理由は、曲線が水分たっぷりの生豆を前提に時間配分されているから。すでに乾いた豆は、温まり方が普段の約2倍速いという報告もあって、曲線と豆の状態がズレて一気に焼きすぎてしまいがちです。

R2での進め方(提案)

  1. しっかり冷ましてから、日を空けすぎずに

    当日〜翌日が目安。資料によって「すぐ」「1〜2日休ませる」と意見が分かれます。

  2. 量を確認

    焼いた豆は軽くなっています。公式の最小量200gを下回るなら、同じ豆の別の回とまとめて。

  3. フル手動で、予熱は普段より低めに

    乾燥はほぼ済んでいるので、低めの予熱で入れて、火力は中くらい(50%前後)、ファンは60%前後から様子を見ます。

  4. 終わりは色と音で決める

    狙いの焙煎度の見本豆を横に置いて比べます。止まっていた1ハゼが再開したら、そこから秒数を数えて。

  5. 早めに飲みきる

    焼き直した豆は日持ちしにくいと言われます。

予熱・火力・ファンの数値は資料からの提案で、R2で確かめた値ではありません。最初は少量で。なお公式ブログの「フル手動モードは再焙煎できません」という一文は、アプリの「同じ記録でもう一度焼く」機能のことだと考えられ、豆の焼き直しを禁じる説明ではないと読んでいます。

いちばんの対策は、やっぱり予防。次回は曲線の「1ハゼ後の時間」を少しのばしておきましょう。

焼いた後こそ、本番

焙煎が終わってホッとしたくなりますが、ここからの扱いで味がまだ変わります。

すぐに冷ます

取り出した後も豆の中は熱々で、余熱で焙煎が進みます。4分以内に40℃を下回るくらいが目安。冷えるのが遅いと、甘さと香りが逃げて“焼けた”感じが出てしまいます。ざるや冷却盤に広げて、風を当てましょう。

休ませる

焙煎日7日14日21日28日
深煎り
中煎り
浅煎り
ガスが抜けるのを待つ飲み頃(常温で2〜4週間)
目安は深煎り3〜5日、中煎り5〜10日、浅煎り7〜14日。深煎りほど豆の中がすかすかで、ガスが早く抜けます。

保存する

焼き方の違いを飲み比べたいときは、付録G「カッピングで飲み比べ」へ。

よくある質問

NIHOで焼いていて出てきた疑問に、焙煎係の深煎りまめが答えます。新しい疑問が出たら、どんどん足していきます。

はじめ

1ハゼボタンって、鳴り始めで押す? いちばんにぎやかなときに押す?

「パチン」が3回くらい続いたら押そう。ピークまで待たなくて大丈夫。毎回同じ基準で押すのがいちばん大事だよ。 くわしくは「あるある①」へ →

深煎りまめ

はじめ

深煎りにしたいのに、2ハゼの手前で勝手に終わっちゃう…

マイ曲線で「1ハゼ後の時間」をのばして、2ハゼが来たら2ハゼボタンで締めよう。量を200〜300gに減らして、1ハゼまでに勢いをつけるのも効くよ。 くわしくは「あるある②」へ →

深煎りまめ

はじめ

深煎りの最後のほうで、温度が下がってくることがあるんだけど

2ハゼボタンの後なら仕様どおりで問題なし。2ハゼの前に下がるなら失速だから、量を減らして、1ハゼまでに勢いをつけてみて。アプリの履歴で火力・ファンの線と見比べると原因がわかるよ。 くわしくは「あるある③」へ →

深煎りまめ

はじめ

焼きが甘かった豆、もう一回焼いてもいい?

フル手動で「足りない分だけ」足すならアリ。プリセットで最初から焼き直すのはナシ。2ハゼに入った豆は焼き直さないでね。 くわしくは「あるある④」へ →

深煎りまめ

はじめ

プリセットの「浅煎り」「深煎り」が、名前どおりの焙煎度にならない

プリセットは出発点だと思ってね。「Light」でミディアムになった、深煎りでシティ止まり、なんて声もあるよ。まず1ハゼボタンの押しどきをそろえて、「1ハゼ後の時間」で調整。焙煎度は名前じゃなくて重量減少率で記録すると比べやすいよ。

深煎りまめ

はじめ

1回に何グラム焼くのがいい?

慣れるまでと深煎りは200〜300g。上限は400gくらいが現実的かな。公式は200〜550gだけど、550gだと受け皿からあふれた例もあるんだ。

深煎りまめ

はじめ

続けて焼くと、2回目からやけに速く進む

本体に熱がたまるからだよ。2回目以降は1割くらい下げた曲線を使って、3回焼いたら一度しっかり冷まそう。

深煎りまめ

はじめ

同じ曲線で焼いたのに、日によって仕上がりが違う

その日の何回目か(本体の熱)、室温、同じ回路の家電、温度センサーの汚れ…のどれかが多いよ。メモして切り分けよう。センサーは20〜25回に1回お掃除を。

深煎りまめ

はじめ

R2の表示温度が、ネットの記録と全然合わない

合わなくて普通! R2の温度は豆じゃなくて、まわりの空気寄りの値なんだ。1ハゼは表示で175〜185℃くらいが多いよ。比べるなら、音・色・重量減少率で。

深煎りまめ

はじめ

ドラム回転とファンって、どういうときに触ればいいの?

ファンは段階ごとに上げていく“排気係”。乾燥中は低め、黄変から少しずつ上げて、1ハゼの後はしっかり。ドラム回転は基本そのままでOK。速ければいいわけじゃなくて、速すぎても遅すぎても焦げやムラの原因になるんだ。 くわしくは「ファンとドラム回転の使いどき」へ →

深煎りまめ

はじめ

焙煎中に、うっかり手動ボタンを押しちゃった

その回はプリセットに戻れないことがあるみたい(動画でも実際に起きてた)。慌てず、今の火力・ファンのまま色と音で終わりを決めよう。記録に「手動になった」ってメモも忘れずに。

深煎りまめ

はじめ

焼いた豆は、いつから飲むのがいい?

深煎りは3〜5日、中煎りは5〜10日、浅煎りは7〜14日くらいから。常温で2〜4週間が飲み頃だよ。味の評価も、この日数を待ってからね。 くわしくは「焼いた後こそ、本番」へ →

深煎りまめ

はじめ

深煎りの煙で、火災警報器が鳴らないか心配

煙式の警報器が焙煎の煙で鳴った例はあるよ。焼く前に警報器の位置を確認して、換気は強めに。深煎りは人の少ない時間がおすすめ。 くわしくは「NIHOで焼くときのお約束」へ →

深煎りまめ

Appendix

付録

本編で出てきた言葉や段取りを、あとから確かめるためのまとめです。

付録A困ったときの早見表

こんな味・状態たぶん原因は次はこうしてみる
酸っぱい・青臭い・穀物っぽい発達不足1ハゼ後を+15〜30秒。序盤の火力を上げる。1ハゼボタンの押しどきを確認
平板・紙っぽい・甘くない中盤の失速、1ハゼでの急ブレーキ(ベイクド)予熱・序盤の火力を上げて全体を短く。1ハゼ前に火力を落としすぎない。量を減らす
苦い・焦げ臭い・灰っぽい焼きすぎ、終盤の火力が強すぎ、排気不足1ハゼ後を短く。終盤の火力を下げる。ファンを上げる
煙っぽい・スモーキー排気不足、チャフの焦げファンを上げる。チャフ受けを毎回掃除
表面に黒い点・縁が焦げる序盤の火力が強すぎる予熱温度か序盤の火力を下げる
香りが弱いファンが強すぎて香りまで逃げているファンを少し下げる
色ムラがある豆の大きさや密度がバラバラ、量が多すぎハンドピックでそろえる。量を減らす
同じ曲線なのに毎回違う連続焙煎で本体が熱い、センサーの汚れ、室温・電源2回目以降は1割下げた曲線。センサー掃除。室温をメモ
深煎りが2ハゼ前に終わる1ハゼ後の時間が短い、勢い不足あるある②
終盤に温度が下がるアプリの切り替え、熱不足、R2の癖あるある③
浅く終わってしまった1ハゼ後の時間が短い、押すのが早すぎたあるある④

付録B計算してみよう

1ハゼの時刻と終わった時刻、焼く前と後の重さを入れると、DTRと重量減少率、だいたいの焙煎度がわかります。最初に入っている数字は例です。

1ハゼ後の時間
DTR
重量減少率
目標DTRにするなら

焙煎度の判定は重量減少率の一般的な目安です。記録用のシートはきっちり版にあります。

付録C覚えておくと便利な3つのものさし

DTR:仕上げに使った割合

1ハゼから排出までの時間 ÷ 全体の時間。焙煎の最後の何割を「仕上げ」に使ったか。よく言われる目安は20〜25%。ただし「DTRだけで止めどきを決めず、色と音で決める」のが基本です。

RoR:焙煎のスピードメーター

1分で何℃上がっているか。アクセルを少しずつ戻すように、最後までじわっと下がり続けるのが理想です。

重量減少率:家で測れるいちばん確かな焙煎度

焼く前と後で何%軽くなったか。キッチンスケールだけで測れます。計算ツールもどうぞ。

ブレーキのかけ方で、味が変わる

1ハゼのあたりで急ブレーキ(クラッシュ)をかけると平板で紙っぽい味に。急ブレーキの後にまたアクセル(フリック)だと、灰っぽい後味になります。

1ハゼ 理想:なめらかに下降
1ハゼ クラッシュ:平板・紙っぽい
1ハゼ フリック:灰っぽい後味
縦軸が上昇率。R2では、1ハゼボタンを押した瞬間に火力が下がってファンが上がるので、急ブレーキになりやすいという指摘があります。

付録D豆にも性格がある

同じ曲線で焼いても、豆が変われば別の焙煎になります。豆の“性格”を知っておくと、どのつまみを回せばいいか見当がつきます。

頑固な職人肌高地のウォッシュト

身がぎゅっと詰まっていて、熱が芯まで入りにくい。

予熱と序盤の火力しっかり。1ハゼ後の時間も確保

素直で早熟低地の豆

熱がすっと入って、進みが速い。

火力は控えめに、早め早めに判断

甘えん坊で焦げやすいナチュラル・ハニー

果肉由来の糖が多く、色が先に進みがち。チャフも煙も多め。

序盤は控えめに。色だけで止めない。チャフ掃除は念入りに

繊細な芸術家発酵系(アナエロビックなど)

細胞壁が弱くて、熱に敏感。

全体を穏やかに。表面の焦げに注意

声が小さい子デカフェ

1ハゼ後の進みが速いのに、生豆から茶色っぽくて色で判断しにくい。ハゼの音も小さめ。

時間・表示温度・香りで判断。1ハゼ後は短めに

ころころの末っ子ピーベリー

小さくて丸い豆。転がり方も熱の入り方も違う。

予熱をやや高め(海外の目安で+3〜6℃)。深煎りは避けて早めに

焙煎全般の知識をR2に当てはめたもので、R2で1つずつ試したものではありません。はじめての豆は、まず公式曲線で1回焼いてから直すのがおすすめ。

ハンドピック、してますか?

焼く前に、お引き取りいただく豆

黒い豆、発酵した豆、虫食い、割れ・欠け、未熟な豆、石や枝。SCAの基準では、黒い豆や発酵した豆は350gに1粒あるだけでスペシャルティ失格になるくらい、味を下げます。

焼いた後に見つかる“白い子”

「クエーカー」と呼ばれる、未熟で糖が足りない豆。焼いても色づかずに白っぽく残ります。紙っぽさや渋みの原因なので、焼いた後に淡い豆を拾いましょう。

ほかにも、生豆の水分は10〜12%が標準、大きさがバラバラだと小粒が焦げて大粒が生焼けに、ブレンドは豆ごとに焼いてから混ぜる、といったコツがあります。生豆は冷暗所・湿度60%以下で、入荷から6〜12か月がおいしく焼ける目安。1年を超えると、木のような平板な味になりやすくなります。

付録E中級者の焙煎の流れ

  1. 準備

    チャフ受けと排気口を掃除(毎回! 残ったチャフは発火のもと)。生豆を量って、欠点豆をハンドピック。換気と電源も確認して、「今日は何を確かめるか」を1つだけ決めます。

  2. 曲線を選ぶ

    公式曲線をコピーしてマイ曲線に。連続で焼く日は、2回目以降用の「1割低い版」も。

  3. 予熱して、投入

    予熱8〜10分・180〜220℃。完了アラームから3分以内に投入してアプリで確認をタップ。一気に流し込まず、豆詰まりに注意。

  4. 黄変まで観察

    のぞき窓と匂いで、青草 → 干し草 → パン・クッキーの変化を追います。黄変の時刻をメモ。

  5. 1ハゼで押す

    「パチン」が3回くらい続いたら1ハゼボタン。

  6. 発達を聞く

    カウントダウンを見ながら、音の減り方と色をチェック。深煎りは2ハゼの音で2ハゼボタン。

  7. すぐ冷ます

    取り出したらすぐ広げて、4分以内に40℃を下回るくらいまで一気に冷まします。

  8. 白い子を拾って、記録

    クエーカーを拾ってから重さを量り、重量減少率とDTRをメモ。

  9. 休ませて、飲んで、1つ直す

    飲み頃まで待ってから評価して、次回変えることを1つだけ決めます。

付録FNIHOで焼くときのお約束

NIHOはみんなのリビング。煙やにおい、電源、火の扱いも、おいしさと同じくらい大事な“段取り”です🙏

電源

  • 延長コード・タコ足はNG
  • 壁のコンセントに直接。同じ回路の電子レンジ・ケトルと同時に使わない(100Vだと電圧が下がって、ヒーターの力が落ちることも)
  • 「今日はなんだか遅い」と思ったら、同じ回路で何が動いていたかもメモ

煙とにおい

  • 2ハゼ以降は煙が一気に増える。レンジフード+窓で空気を入れ替える
  • 煙式の火災警報器が焙煎の煙で鳴った例も。焼く場所と警報器の位置を先にチェック
  • 深煎りは、換気しやすい時間帯や人の少ない時間に

火と片付け

  • チャフは毎回お掃除
  • 焙煎中は機械から離れない。消火器の場所も確認
  • 1回の焙煎は20分で自動停止。屋外や湿気の多い場所ではNG

季節で変わる

冬は温まりにくくて時間がのび、夏は短くなります。季節で室温が10〜15℃違うと、同じ曲線でも同じ焙煎になりにくいそう。記録には室温も残して、冬用・夏用の曲線を分けるのも手です。

R2の基本仕様:900W(AC100〜120V)、焙煎量200〜550g、石英管ヒーター4本、上昇率は最大35℃/分、動作音65dB、重さ12kg。

付録Gカッピングで飲み比べ

焼き方の違いを比べたいなら、淹れ方の差をなくすのが近道。プロがやっている「カッピング」は、家でもかんたんにできます。

  1. 量る

    8.25gにお湯150ml(SCAの比率)。ペーパードリップより少し粗く挽いて、まず粉の香りをかぐ。

  2. 注いで4分

    93℃くらいのお湯をカップの縁まで注いで、そのまま4分。

  3. ふたを割る

    表面にできた粉の層をスプーンで3回ほどかき混ぜて崩し、立ちのぼる香りをかぐ。

  4. すくって、すする

    浮いた泡と粉をすくって捨てたら、スプーンで勢いよくすする。熱いうちは香りとボディ、ぬるくなると酸味・甘さ・欠点がよくわかります。

カップの底にラベルを貼って、誰かに並べ替えてもらえばブラインドテストに。NIHOのみんなで飲み比べると、ぐっと楽しくなります☺️ 味を言葉にするときはフレーバーホイールが便利です。

付録H焙煎ことば辞典

転換点(TP)
投入直後に下がった豆の温度が、底を打って上がり始める点。
黄変(イエロー)
水分が抜けて豆が黄色くなる段階。乾燥の終わりの合図。
メイラード反応
アミノ酸と糖が熱で出会って、茶色と香りを生む反応。パンの焼き色も同じ。
カラメル化
糖そのものが熱で分解して、甘い香りと、進むと苦味を生む反応。
1ハゼ・2ハゼ
豆がはじける音。1ハゼは中の水蒸気とCO₂の圧力、2ハゼは骨組み(細胞壁)の崩壊。
発達(デベロップメント)
1ハゼから排出までの、味の仕上げの時間。
RoR
1分あたりに豆の温度が何℃上がっているか。焙煎のスピードメーター。
DTR
1ハゼから排出までの時間 ÷ 全体の時間。20〜25%がよく言われる目安。
煎り止め
狙いの焙煎度で加熱を止めて、冷却に移ること。
ベイクド
失速や急ブレーキで、平板で紙っぽい味になった状態。
クラッシュ・フリック
1ハゼあたりで上昇率が急に落ちるのがクラッシュ、その後に跳ね上がるのがフリック。
ストール
上昇率が下がりすぎて、温度がほとんど上がらなくなること。
スコーチング・チッピング
ドラムに触れた面が焦げるのがスコーチング、豆の先や縁が黒く焦げるのがチッピング。
チャフ
生豆の薄皮。焙煎中にはがれて飛んでいく。
クエーカー
焼いても色づかない未熟豆。“白い子”。
エイジング・ガス抜き
焙煎後にCO₂が抜けて、味が落ち着くまでの期間。
カッピング
決まった手順で淹れて、香りと味を比べる方法。
アグトロン
焙煎度を光で測った数値。大きいほど浅煎り。
SHB・SHG
標高の高い産地の、硬くて密度の高い豆の格付け。
パストクロップ
収穫から1年くらい経った古い生豆。木のような平板な味になりやすい。

もっと知りたい人へ

出典の一覧はきっちり版にあります。