NIHO kamakura · Roasting
R2で焙煎、
もう一歩おいしく。
焙煎、30回くらいやってみて、なんとなく焼けるようにはなってきた。でも──
「毎回ちょっとずつ味が違うのは、なんで?」
「1ハゼボタンって、いつ押すのが正解?」
「深煎りにしたいのに、2ハゼの手前で勝手に終わるんだけど…」
今回は、そんな“中級者のモヤモヤ”をまとめて解消していきます。豆の中で何が起きているのかがわかると、R2のつまみを「なんとなく」ではなく「狙って」回せるようになります☕
そもそも、豆の中で何が起きてる?
生豆の匂いをかいだことはありますか? 青っぽくて、ほとんど草です。そこからあの香ばしい香りになるまでに、豆の中では800種類以上の香り成分が生まれていきます。
焙煎は、ただ豆を温めているだけではありません。温度が上がるにつれて、豆の中で起きる反応が順番に切り替わっていきます。どの段階で止めるかで、味が決まります。まずは全体の流れを見てみましょう。
図は横にスクロールできます →
水分が抜ける〜150℃くらい
生豆にある10〜12%の水分が抜けていく時間。熱の多くは水を飛ばすのに使われます。緑から黄色へ、青草の匂いがパンやクッキーの匂いに変わったら「黄変」です。ここで火力を強くしすぎると、外だけ焦げて中は生のままになります。
色と香りが生まれる150℃〜1ハゼ
アミノ酸と糖が出会って、茶色の色素と香りが次々に生まれます。パンの焼き色やステーキの焦げ目と同じ反応です。170℃あたりからは砂糖のカラメル化、165℃あたりからは酸味のもと(クロロゲン酸)の分解もスタート。
酸味が減り、甘さとコクが育つ1ハゼ〜排出
酸味(クエン酸やリンゴ酸)が少しずつ減って、甘さとコクが育つ時間。焙煎度はほぼここで決まります。同じ秒数でも、ここに入るときの勢いで仕上がりが変わるのがおもしろいところ。
煙と苦味が増える224℃くらい〜
豆の骨組みが崩れて、油がにじみ、煙と苦味がぐっと増えます。産地の個性は、だんだんロースト香に置きかわっていきます。
ここだけ覚えて
- 温度が上がるにつれて、豆の中で起きる反応が切り替わる
- どこで止めるかで、味の大枠が決まる
- 温度の上がり方(RoR)は、最後までなめらかに下がり続けるのが理想
ちなみに、苦味には2種類あります
浅煎り〜中煎りのやさしい苦味は「クロロゲン酸ラクトン」。さらに焼くとそれが分解して「フェニルインダン」になり、深煎りらしいガツンと後に残る苦味に変わります。深煎りでも、2ハゼに入ってからを短めにすると苦味がまろやかになります。
1ハゼと2ハゼ、何がはじけてる?
焙煎中に聞こえてくる「パチン」と「チチチッ」。豆の中では、いったい何がはじけているのでしょう?
パチン!
1ハゼ
豆の中にこもった水蒸気とCO₂が、圧力鍋のように内側から組織を押し割る音です。ポップコーンっぽい、大きめの音。豆温で約196℃(R2の表示だと175〜185℃くらい)。豆は最大で1.8倍くらいまでふくらみ、センターカットがぱかっと開きます。
チチチッ…
2ハゼ
今度は豆の骨組み(細胞壁)そのものが崩れる音。1ハゼより細かく、高く、速い音です。豆温で約224℃。油が表面ににじみ出して、煙が一気に増えます。
「1ハゼで豆の中の反応が“熱を出す側”に変わる」という説明もよく見かけますが、専門家の間でも決着していない話なので、話半分で。
焙煎度で、味はこう変わる
焙煎が進むと、味の要素はそれぞれ違う動きをします。山登りにたとえると、こんな感じです。
- 酸味は、ずっと下り坂
- 甘みは、途中に山頂がある山
- ボディ(コク)は、登っていって上のほうで平らに
- 苦味は、2ハゼの後に崖のように急上昇
- 産地の個性は、浅め〜中くらいがピーク。深くなるほど感じにくくなる
図は横にスクロールできます →
8段階の焙煎度、ざっくり早見
重さの減り方の目安は、浅煎り11〜13%、中煎り15〜18%、深煎り18%〜。段階名の定義はお店によって少しずつ違います。
好きな味から逆算しよう
中級者への一番の近道は、「今日はどんな味にしたい?」を先に決めてから焼くこと。あなたはどのタイプでしょう?
「明るい酸味と、華やかな香りが好き」
- 焙煎度
- ミディアム〜ハイ(DTR 15〜20%)
- R2では
- 予熱と序盤の火力をしっかり。1ハゼの前で火力を落としすぎない
失敗あるある:酸っぱい・青臭い → 1ハゼ後を15〜30秒のばす
「まろやかで、甘いのがいい」
- 焙煎度
- ハイ〜シティ(DTR 20〜25%)
- R2では
- 1ハゼの手前から火力を少しずつ下げて、上昇率をなめらかに
失敗あるある:平板で甘くない(ベイクド)→ 中盤で失速させない、量を減らす
「どっしり、チョコっぽいのが好き」
- 焙煎度
- シティ〜フルシティ(DTR 22〜27%)
- R2では
- 1ハゼ後を長めに。2ハゼの入口あたりで止める。ファンは上げ気味
失敗あるある:苦い・焦げ臭い → 2ハゼに入ったら10〜20秒で止める
「ミルクやアイスに負けない苦味がほしい」
- 焙煎度
- フルシティ〜フレンチ
- R2では
- 2ハゼボタンの後は短く(公式の目安は20秒以内)。ファン強めで煙を逃がす
失敗あるある:灰っぽい・煙臭い → ファンを上げる、チャフを毎回掃除
DTRの幅は、一般的な目安を焙煎度に割り振ったものです。
DTRやRoRって何? という人は、付録C「覚えておくと便利な3つのものさし」へどうぞ。
上達が早くなる4つのクセ
- 1回に変えるのは1か所だけ(火力とファンを同時に変えると、何が効いたかわからなくなる)
- 同じ豆で比べる(1種類を2〜3kg確保して、条件違いで並べて飲む)
- 休ませてから飲んで評価する
- 数字と味を1行メモ
R2のつまみ、回すとどうなる?
R2で動かせるのは、火力、ファン、予熱温度、曲線の時間配分、投入量(アプリによってはドラム回転も)。車の運転にたとえると、ぐっとわかりやすくなります🚗
豆に入る熱の量。踏むと速く進んで、明るい味に。踏みすぎると、序盤は表面が焦げ、終盤は苦くて煙っぽく。踏まなさすぎると失速して、平板な“焼けた”味になります。
煙とチャフを外に出す係。熱も一緒に逃げるので、上げるとスピードが落ちます。上げすぎると香りまで逃げ、下げすぎるとスモーキーに。R2のファンは「熱を運ぶ主役」ではなく「排気係」という声も。段階ごとに上げていくのが基本です(使いどき)。
高いと序盤が速く、明るい味に。高すぎると表面や縁が焦げます。予熱の完了アラームから3分以内に投入しないと止まってしまうので、豆はスタンバイしておきましょう。
いちばん直接効くつまみ。のばすと深く、縮めると明るく。浅すぎ・焼きすぎのときは「次回ここを調整してね」というのが公式の案内です。
人数が多いほど、坂道(高温域)で失速しやすい。慣れるまでと深煎りは200〜300g、実用上の上限は400gくらい。550gだと受け皿から豆があふれた例も。
豆の転がり方を決めるつまみ。ちょうどいい速さがあって、速ければいいわけではありません。遅すぎると豆が底にたまって熱いドラムに触れっぱなし、速すぎると遠心力で壁に張りついて転がらなくなり、どちらも焦げやムラの原因に。基本は既定のままでOK。
ファンとドラム回転の使いどき
火力がアクセルなら、ファンは段階ごとに上げていく排気係で、ときどきちょっとしたブレーキ。ドラム回転は困ったときだけ触ります。
| いまの段階 | ファン | なんのため? |
|---|---|---|
| 投入〜黄変 | 低め(R2ユーザーの例で30%くらい)。ゼロにはしない | 熱をためながら、湯気は外に逃がす |
| 黄変〜1ハゼ | 少しずつ上げる(30% → 40%くらい) | チャフがはがれて煙が出始めるので、外に出す |
| 1ハゼの後 | しっかり上げる(公式の目安60%以上) | 煙を出しながら、スピードをなめらかに落とす |
| 2ハゼの後 | ほぼ全開(公式の目安90%以上) | 一気に増える煙を出す |
1ハゼ・2ハゼのまわりでファンを低めにしても、アプリが安全のため自動で引き上げます(2ハゼの設定で30%にすると55%になる、など)。
ファンで、ちょっと調整
- 1ハゼの前にスピードが出すぎ → 火力をガクッと下げる前に、ファンを5〜10%上げてみる
- 失速しそう → ファンを少し下げる
- 煙臭い・スモーキー → ファンを上げる
- 香りが弱い → ファンを少し下げる
ドラム回転を触るのは、こんなとき
- 豆の平らな面に黒い焦げ跡や色ムラ → まず予熱か序盤の火力を下げる。それでも出たら、前面の窓から豆の動きを見る
- 豆が底でもたついている → 少し上げる
- 豆が壁に張りついたまま回っている → 下げる
- 変えるときは少しずつ。1回の焙煎の中では固定して、前回と比べる
つまみ早見表
そのつまみを「上げた」とき、同じ焙煎度で止めた場合の傾向です。▲ 増える/▼ 減る/山 途中まで増えて減る/― ほぼ変わらない
| 上げるつまみ | 上昇率 | 時間 | 酸味 | 甘み | ボディ | 苦味・煙 | 焦げ |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 火力 | ▲▲ | ▼ | ▲ | 山 | ▼ | ▲ | ▲ |
| ファン | ▼ | ▲ | ― | ― | ― | ▼▼ | ▼ |
| 予熱温度 | ▲ | ▼ | ▲ | ― | ― | ― | ▲ |
| 1ハゼ後の時間 | ― | ▲ | ▼▼ | 山 | ▲ | ▲ | ― |
| 投入量 | ▼ | ▲ | ― | ― | ― | ― | ▼ |
R2の“公式ルール”もひとつ
R2には「1ハゼの後は火力を下げて、ファンを上げてね」という公式の目安があります。アプリも1ハゼ・2ハゼのまわりに安全上の制限をかけていて、たとえば2ハゼの設定でファンを30%にしても、自動で55%に直されます。
| 時間 | 火力 | ファン | |
|---|---|---|---|
| 1ハゼの後 | 180秒以内 | 50%以下 | 60%以上 |
| 2ハゼの後 | 20秒以内 | 30%以下 | 90%以上 |
表示温度は“まわりの空気”寄り
R2の温度は豆の体温そのものではなく、まわりの空気に近い値。ネットの記録やほかの焙煎機の数字とは比べられません。数字より、音・色・重量減少率を信じましょう。温度センサーは20〜25回に1回お掃除を。
2回目からは速くなる
連続で焼くと本体に熱がたまって、同じ曲線でも15分 → 12分 → 10分と速くなった例があります。2回目以降用に1割ほど下げた曲線を用意して、3回焼いたら一度しっかり冷まします。
アプリは2026年に無料の新アプリ「Sandbox Smart Pro」へ移行しています。画面の名前や上限値は、お使いの版で確かめてください。
R2あるある② 深煎りが2ハゼ前に終わる問題
「フレンチにしたいのに、2ハゼの手前でピピッと終了…」
マイ曲線で「1ハゼ後の時間」をのばして、2ハゼが来たら2ハゼボタンで締める。
1ハゼボタンを押すと、曲線に設定された「1ハゼ後の時間」のカウントダウンがスタート。ゼロになったら、豆の気持ちにおかまいなく終わります。しかもR2のプリセットは“じっくり低めの上昇率”の設計で、1ハゼの後は火力も控えめ。深煎りプリセットで焼いたらシティくらいで止まった、という動画もあります。
ちなみに、1ハゼが10分のところで来たなら、1ハゼ後150秒はDTR約20%。そもそも中煎り向けの配分なんです。
試す順番
マイ曲線で「1ハゼ後の時間」をのばす。公式の目安は180秒以内。200秒くらいに設定しておく人もいます。時間は“余裕”として持っておいて、終わりは2ハゼボタンで決めます(ボタン後は短いカウント、公式の目安20秒以内)。
1ハゼまでに勢いをつける。予熱と序盤の火力を上げて、1ハゼの手前で火力を落としすぎない。勢いよく1ハゼに入るほど、2ハゼまでが近くなります。
量を200〜300gに減らす。プリセットの「深」より、アドバンス/コンペティション系の強めの曲線をもとにするのも手です。
1ハゼの後に手動へ切り替える、またはフル手動で焼く。動画の焙煎士さんもこの方法で2ハゼまで進めていました。手動に切り替えた後もカウントダウンが生きているかは、アプリの版で確かめてください。
1ハゼボタンを遅めに押す。効きますが記録がブレるので、やったら必ずメモを。
深煎りは煙とチャフの発火に要注意。換気を強めにして、焙煎中は機械から離れないでくださいね。
R2あるある③ 終盤に温度が下がってくる問題
「あれ…温度、下がってない…?」
いつ下がり始めたかで意味が違う。2ハゼボタンの後なら問題なし。2ハゼの前なら“失速”なので対策を。
| 下がり始めたとき | 主な原因 | 問題? |
|---|---|---|
| 2ハゼボタンの直後 | アプリが火力を下げてファンを上げた | 問題なし。数十秒で終わります |
| 1ハゼボタンの直後にガクッと | 1ハゼ後の設定へ一気に切り替わった | 要注意。平板な味の原因に |
| 1ハゼと2ハゼの間で、設定は同じなのに | 熱が足りない(量・室温・電源)、R2の癖 | 問題。2ハゼ前に終わる原因にも |
どうして下がるの?
- アプリの切り替えと安全制限。1ハゼ・2ハゼのまわりは、安全のために火力弱め・ファン強めに補正されます。熱を減らして風を増やすので、表示温度は下がりやすくなります。
- R2の癖。「1ハゼ以降に温度上昇が止まる。同じ機種の人に聞いても同じだった」という、2年半使ったユーザーさんの報告があります。
- 高温側の上限。公式の説明では本体の最高温度は220℃。220℃を超えると安全のため止まる、という声もあります。
- 熱の“収支”がマイナス。量が多い、部屋が寒い、ファンが強い、同じ回路で電子レンジやケトルを使って電圧が下がった…が重なると、入る熱より逃げる熱が多くなります。「たまに」起きるなら、このあたりが怪しいかも。
- 表示が先に下がっているだけ。風が強まると、空気寄りの表示温度が先に下がります。豆の中はすぐには冷えません。
見分け方はかんたん。アプリの焙煎履歴で、温度が下がり始めた時刻の火力・ファンの線と、ボタンを押した時刻を重ねて見てみてください。
2ハゼ前に下がるときの対処
- 1ハゼ以降は温度が伸びにくい機種なので、1ハゼの手前で勢いを稼ぐ(予熱・序盤の火力を上げる)
- 深煎りは200〜300gに減らす
- マイ曲線で、1ハゼ後の火力は上限寄り・ファンは下限寄りに
- 焙煎中は、同じ回路の電子レンジ・ケトル・ドライヤーはお休み
- 2ハゼボタンは、音を確かめてから押す(早く押すほど早く火力が落ちる)
- 表示が220℃近くなのに2ハゼが来ないときは、上限に当たっている。無理せず、量と勢いで解決
R2あるある④ 焼きが甘かった…もう一回焼いていい?
「うっ、まだ明るい…。このまま捨てるのはもったいない」
救済としてはアリ。でもプリセットで最初からやり直すのはナシ。フル手動で「足りない分だけ」足す。
1ハゼの前か、途中で終わった
→ 焼き直す価値あり
足りないのは発達だけ。足せば飲める味に近づきます。
色はいいのに、酸っぱい・青臭い
→ 焼き直さず、次回を直す
焼き直すと色だけ深くなって平板になりがち。
2ハゼに入っている
→ 焼き直さない
焼き直しが成り立つのはハイローストくらいまで。
プリセットがダメな理由は、曲線が水分たっぷりの生豆を前提に時間配分されているから。すでに乾いた豆は、温まり方が普段の約2倍速いという報告もあって、曲線と豆の状態がズレて一気に焼きすぎてしまいがちです。
R2での進め方(提案)
しっかり冷ましてから、日を空けすぎずに
当日〜翌日が目安。資料によって「すぐ」「1〜2日休ませる」と意見が分かれます。
量を確認
焼いた豆は軽くなっています。公式の最小量200gを下回るなら、同じ豆の別の回とまとめて。
フル手動で、予熱は普段より低めに
乾燥はほぼ済んでいるので、低めの予熱で入れて、火力は中くらい(50%前後)、ファンは60%前後から様子を見ます。
終わりは色と音で決める
狙いの焙煎度の見本豆を横に置いて比べます。止まっていた1ハゼが再開したら、そこから秒数を数えて。
早めに飲みきる
焼き直した豆は日持ちしにくいと言われます。
予熱・火力・ファンの数値は資料からの提案で、R2で確かめた値ではありません。最初は少量で。なお公式ブログの「フル手動モードは再焙煎できません」という一文は、アプリの「同じ記録でもう一度焼く」機能のことだと考えられ、豆の焼き直しを禁じる説明ではないと読んでいます。
いちばんの対策は、やっぱり予防。次回は曲線の「1ハゼ後の時間」を少しのばしておきましょう。
焼いた後こそ、本番
焙煎が終わってホッとしたくなりますが、ここからの扱いで味がまだ変わります。
すぐに冷ます
取り出した後も豆の中は熱々で、余熱で焙煎が進みます。4分以内に40℃を下回るくらいが目安。冷えるのが遅いと、甘さと香りが逃げて“焼けた”感じが出てしまいます。ざるや冷却盤に広げて、風を当てましょう。
休ませる
保存する
- 一方向バルブ付きの袋か、密閉できる遮光容器へ。光・熱・湿気は大敵
- 常温で2〜4週間が飲み頃
- 長く持たせたいときは、小分けにして冷凍(3〜4か月)。一度解凍したら再冷凍しない
- 冷凍から出したら、袋を開けずに室温に戻してから使う(結露防止)
焼き方の違いを飲み比べたいときは、付録G「カッピングで飲み比べ」へ。
よくある質問
NIHOで焼いていて出てきた疑問に、焙煎係の深煎りまめが答えます。新しい疑問が出たら、どんどん足していきます。
はじめ
1ハゼボタンって、鳴り始めで押す? いちばんにぎやかなときに押す?
「パチン」が3回くらい続いたら押そう。ピークまで待たなくて大丈夫。毎回同じ基準で押すのがいちばん大事だよ。 くわしくは「あるある①」へ →
深煎りまめ
はじめ
深煎りにしたいのに、2ハゼの手前で勝手に終わっちゃう…
マイ曲線で「1ハゼ後の時間」をのばして、2ハゼが来たら2ハゼボタンで締めよう。量を200〜300gに減らして、1ハゼまでに勢いをつけるのも効くよ。 くわしくは「あるある②」へ →
深煎りまめ
はじめ
深煎りの最後のほうで、温度が下がってくることがあるんだけど
2ハゼボタンの後なら仕様どおりで問題なし。2ハゼの前に下がるなら失速だから、量を減らして、1ハゼまでに勢いをつけてみて。アプリの履歴で火力・ファンの線と見比べると原因がわかるよ。 くわしくは「あるある③」へ →
深煎りまめ
はじめ
焼きが甘かった豆、もう一回焼いてもいい?
フル手動で「足りない分だけ」足すならアリ。プリセットで最初から焼き直すのはナシ。2ハゼに入った豆は焼き直さないでね。 くわしくは「あるある④」へ →
深煎りまめ
はじめ
プリセットの「浅煎り」「深煎り」が、名前どおりの焙煎度にならない
プリセットは出発点だと思ってね。「Light」でミディアムになった、深煎りでシティ止まり、なんて声もあるよ。まず1ハゼボタンの押しどきをそろえて、「1ハゼ後の時間」で調整。焙煎度は名前じゃなくて重量減少率で記録すると比べやすいよ。
深煎りまめ
はじめ
1回に何グラム焼くのがいい?
慣れるまでと深煎りは200〜300g。上限は400gくらいが現実的かな。公式は200〜550gだけど、550gだと受け皿からあふれた例もあるんだ。
深煎りまめ
はじめ
続けて焼くと、2回目からやけに速く進む
本体に熱がたまるからだよ。2回目以降は1割くらい下げた曲線を使って、3回焼いたら一度しっかり冷まそう。
深煎りまめ
はじめ
同じ曲線で焼いたのに、日によって仕上がりが違う
その日の何回目か(本体の熱)、室温、同じ回路の家電、温度センサーの汚れ…のどれかが多いよ。メモして切り分けよう。センサーは20〜25回に1回お掃除を。
深煎りまめ
はじめ
R2の表示温度が、ネットの記録と全然合わない
合わなくて普通! R2の温度は豆じゃなくて、まわりの空気寄りの値なんだ。1ハゼは表示で175〜185℃くらいが多いよ。比べるなら、音・色・重量減少率で。
深煎りまめ
はじめ
ドラム回転とファンって、どういうときに触ればいいの?
ファンは段階ごとに上げていく“排気係”。乾燥中は低め、黄変から少しずつ上げて、1ハゼの後はしっかり。ドラム回転は基本そのままでOK。速ければいいわけじゃなくて、速すぎても遅すぎても焦げやムラの原因になるんだ。 くわしくは「ファンとドラム回転の使いどき」へ →
深煎りまめ
はじめ
焙煎中に、うっかり手動ボタンを押しちゃった
その回はプリセットに戻れないことがあるみたい(動画でも実際に起きてた)。慌てず、今の火力・ファンのまま色と音で終わりを決めよう。記録に「手動になった」ってメモも忘れずに。
深煎りまめ
はじめ
焼いた豆は、いつから飲むのがいい?
深煎りは3〜5日、中煎りは5〜10日、浅煎りは7〜14日くらいから。常温で2〜4週間が飲み頃だよ。味の評価も、この日数を待ってからね。 くわしくは「焼いた後こそ、本番」へ →
深煎りまめ
はじめ
深煎りの煙で、火災警報器が鳴らないか心配
煙式の警報器が焙煎の煙で鳴った例はあるよ。焼く前に警報器の位置を確認して、換気は強めに。深煎りは人の少ない時間がおすすめ。 くわしくは「NIHOで焼くときのお約束」へ →
深煎りまめ
Appendix
付録
本編で出てきた言葉や段取りを、あとから確かめるためのまとめです。
付録A困ったときの早見表
| こんな味・状態 | たぶん原因は | 次はこうしてみる |
|---|---|---|
| 酸っぱい・青臭い・穀物っぽい | 発達不足 | 1ハゼ後を+15〜30秒。序盤の火力を上げる。1ハゼボタンの押しどきを確認 |
| 平板・紙っぽい・甘くない | 中盤の失速、1ハゼでの急ブレーキ(ベイクド) | 予熱・序盤の火力を上げて全体を短く。1ハゼ前に火力を落としすぎない。量を減らす |
| 苦い・焦げ臭い・灰っぽい | 焼きすぎ、終盤の火力が強すぎ、排気不足 | 1ハゼ後を短く。終盤の火力を下げる。ファンを上げる |
| 煙っぽい・スモーキー | 排気不足、チャフの焦げ | ファンを上げる。チャフ受けを毎回掃除 |
| 表面に黒い点・縁が焦げる | 序盤の火力が強すぎる | 予熱温度か序盤の火力を下げる |
| 香りが弱い | ファンが強すぎて香りまで逃げている | ファンを少し下げる |
| 色ムラがある | 豆の大きさや密度がバラバラ、量が多すぎ | ハンドピックでそろえる。量を減らす |
| 同じ曲線なのに毎回違う | 連続焙煎で本体が熱い、センサーの汚れ、室温・電源 | 2回目以降は1割下げた曲線。センサー掃除。室温をメモ |
| 深煎りが2ハゼ前に終わる | 1ハゼ後の時間が短い、勢い不足 | あるある②へ |
| 終盤に温度が下がる | アプリの切り替え、熱不足、R2の癖 | あるある③へ |
| 浅く終わってしまった | 1ハゼ後の時間が短い、押すのが早すぎた | あるある④へ |
付録B計算してみよう
1ハゼの時刻と終わった時刻、焼く前と後の重さを入れると、DTRと重量減少率、だいたいの焙煎度がわかります。最初に入っている数字は例です。
—
焙煎度の判定は重量減少率の一般的な目安です。記録用のシートはきっちり版にあります。
付録C覚えておくと便利な3つのものさし
DTR:仕上げに使った割合
1ハゼから排出までの時間 ÷ 全体の時間。焙煎の最後の何割を「仕上げ」に使ったか。よく言われる目安は20〜25%。ただし「DTRだけで止めどきを決めず、色と音で決める」のが基本です。
RoR:焙煎のスピードメーター
1分で何℃上がっているか。アクセルを少しずつ戻すように、最後までじわっと下がり続けるのが理想です。
重量減少率:家で測れるいちばん確かな焙煎度
焼く前と後で何%軽くなったか。キッチンスケールだけで測れます。計算ツールもどうぞ。
ブレーキのかけ方で、味が変わる
1ハゼのあたりで急ブレーキ(クラッシュ)をかけると平板で紙っぽい味に。急ブレーキの後にまたアクセル(フリック)だと、灰っぽい後味になります。
付録D豆にも性格がある
同じ曲線で焼いても、豆が変われば別の焙煎になります。豆の“性格”を知っておくと、どのつまみを回せばいいか見当がつきます。
身がぎゅっと詰まっていて、熱が芯まで入りにくい。
予熱と序盤の火力しっかり。1ハゼ後の時間も確保
熱がすっと入って、進みが速い。
火力は控えめに、早め早めに判断
果肉由来の糖が多く、色が先に進みがち。チャフも煙も多め。
序盤は控えめに。色だけで止めない。チャフ掃除は念入りに
細胞壁が弱くて、熱に敏感。
全体を穏やかに。表面の焦げに注意
1ハゼ後の進みが速いのに、生豆から茶色っぽくて色で判断しにくい。ハゼの音も小さめ。
時間・表示温度・香りで判断。1ハゼ後は短めに
小さくて丸い豆。転がり方も熱の入り方も違う。
予熱をやや高め(海外の目安で+3〜6℃)。深煎りは避けて早めに
焙煎全般の知識をR2に当てはめたもので、R2で1つずつ試したものではありません。はじめての豆は、まず公式曲線で1回焼いてから直すのがおすすめ。
ハンドピック、してますか?
焼く前に、お引き取りいただく豆
黒い豆、発酵した豆、虫食い、割れ・欠け、未熟な豆、石や枝。SCAの基準では、黒い豆や発酵した豆は350gに1粒あるだけでスペシャルティ失格になるくらい、味を下げます。
焼いた後に見つかる“白い子”
「クエーカー」と呼ばれる、未熟で糖が足りない豆。焼いても色づかずに白っぽく残ります。紙っぽさや渋みの原因なので、焼いた後に淡い豆を拾いましょう。
ほかにも、生豆の水分は10〜12%が標準、大きさがバラバラだと小粒が焦げて大粒が生焼けに、ブレンドは豆ごとに焼いてから混ぜる、といったコツがあります。生豆は冷暗所・湿度60%以下で、入荷から6〜12か月がおいしく焼ける目安。1年を超えると、木のような平板な味になりやすくなります。
付録E中級者の焙煎の流れ
準備
チャフ受けと排気口を掃除(毎回! 残ったチャフは発火のもと)。生豆を量って、欠点豆をハンドピック。換気と電源も確認して、「今日は何を確かめるか」を1つだけ決めます。
曲線を選ぶ
公式曲線をコピーしてマイ曲線に。連続で焼く日は、2回目以降用の「1割低い版」も。
予熱して、投入
予熱8〜10分・180〜220℃。完了アラームから3分以内に投入してアプリで確認をタップ。一気に流し込まず、豆詰まりに注意。
黄変まで観察
のぞき窓と匂いで、青草 → 干し草 → パン・クッキーの変化を追います。黄変の時刻をメモ。
1ハゼで押す
「パチン」が3回くらい続いたら1ハゼボタン。
発達を聞く
カウントダウンを見ながら、音の減り方と色をチェック。深煎りは2ハゼの音で2ハゼボタン。
すぐ冷ます
取り出したらすぐ広げて、4分以内に40℃を下回るくらいまで一気に冷まします。
白い子を拾って、記録
クエーカーを拾ってから重さを量り、重量減少率とDTRをメモ。
休ませて、飲んで、1つ直す
飲み頃まで待ってから評価して、次回変えることを1つだけ決めます。
付録FNIHOで焼くときのお約束
NIHOはみんなのリビング。煙やにおい、電源、火の扱いも、おいしさと同じくらい大事な“段取り”です🙏
電源
- 延長コード・タコ足はNG
- 壁のコンセントに直接。同じ回路の電子レンジ・ケトルと同時に使わない(100Vだと電圧が下がって、ヒーターの力が落ちることも)
- 「今日はなんだか遅い」と思ったら、同じ回路で何が動いていたかもメモ
煙とにおい
- 2ハゼ以降は煙が一気に増える。レンジフード+窓で空気を入れ替える
- 煙式の火災警報器が焙煎の煙で鳴った例も。焼く場所と警報器の位置を先にチェック
- 深煎りは、換気しやすい時間帯や人の少ない時間に
火と片付け
- チャフは毎回お掃除
- 焙煎中は機械から離れない。消火器の場所も確認
- 1回の焙煎は20分で自動停止。屋外や湿気の多い場所ではNG
季節で変わる
冬は温まりにくくて時間がのび、夏は短くなります。季節で室温が10〜15℃違うと、同じ曲線でも同じ焙煎になりにくいそう。記録には室温も残して、冬用・夏用の曲線を分けるのも手です。
R2の基本仕様:900W(AC100〜120V)、焙煎量200〜550g、石英管ヒーター4本、上昇率は最大35℃/分、動作音65dB、重さ12kg。
付録Gカッピングで飲み比べ
焼き方の違いを比べたいなら、淹れ方の差をなくすのが近道。プロがやっている「カッピング」は、家でもかんたんにできます。
量る
豆8.25gにお湯150ml(SCAの比率)。ペーパードリップより少し粗く挽いて、まず粉の香りをかぐ。
注いで4分
93℃くらいのお湯をカップの縁まで注いで、そのまま4分。
ふたを割る
表面にできた粉の層をスプーンで3回ほどかき混ぜて崩し、立ちのぼる香りをかぐ。
すくって、すする
浮いた泡と粉をすくって捨てたら、スプーンで勢いよくすする。熱いうちは香りとボディ、ぬるくなると酸味・甘さ・欠点がよくわかります。
カップの底にラベルを貼って、誰かに並べ替えてもらえばブラインドテストに。NIHOのみんなで飲み比べると、ぐっと楽しくなります☺️ 味を言葉にするときはフレーバーホイールが便利です。
付録H焙煎ことば辞典
- 転換点(TP)
- 投入直後に下がった豆の温度が、底を打って上がり始める点。
- 黄変(イエロー)
- 水分が抜けて豆が黄色くなる段階。乾燥の終わりの合図。
- メイラード反応
- アミノ酸と糖が熱で出会って、茶色と香りを生む反応。パンの焼き色も同じ。
- カラメル化
- 糖そのものが熱で分解して、甘い香りと、進むと苦味を生む反応。
- 1ハゼ・2ハゼ
- 豆がはじける音。1ハゼは中の水蒸気とCO₂の圧力、2ハゼは骨組み(細胞壁)の崩壊。
- 発達(デベロップメント)
- 1ハゼから排出までの、味の仕上げの時間。
- RoR
- 1分あたりに豆の温度が何℃上がっているか。焙煎のスピードメーター。
- DTR
- 1ハゼから排出までの時間 ÷ 全体の時間。20〜25%がよく言われる目安。
- 煎り止め
- 狙いの焙煎度で加熱を止めて、冷却に移ること。
- ベイクド
- 失速や急ブレーキで、平板で紙っぽい味になった状態。
- クラッシュ・フリック
- 1ハゼあたりで上昇率が急に落ちるのがクラッシュ、その後に跳ね上がるのがフリック。
- ストール
- 上昇率が下がりすぎて、温度がほとんど上がらなくなること。
- スコーチング・チッピング
- ドラムに触れた面が焦げるのがスコーチング、豆の先や縁が黒く焦げるのがチッピング。
- チャフ
- 生豆の薄皮。焙煎中にはがれて飛んでいく。
- クエーカー
- 焼いても色づかない未熟豆。“白い子”。
- エイジング・ガス抜き
- 焙煎後にCO₂が抜けて、味が落ち着くまでの期間。
- カッピング
- 決まった手順で淹れて、香りと味を比べる方法。
- アグトロン
- 焙煎度を光で測った数値。大きいほど浅煎り。
- SHB・SHG
- 標高の高い産地の、硬くて密度の高い豆の格付け。
- パストクロップ
- 収穫から1年くらい経った古い生豆。木のような平板な味になりやすい。
もっと知りたい人へ
出典の一覧はきっちり版にあります。